2011年7月3日日曜日

雨のみち

独立してから、お陰様で毎日忙しくさせていただいております。
ここ最近、あまりに忙し過ぎてほとんど寝ていない状況で嬉しい悲鳴です。
(残念ながら儲かってはいないのですが。。。)
なので、なかなかブログの更新も滞ってしまっています。
読者になっていただいている方々、頑張って更新していきますので今後とも宜しくお願い致します。

さて、弊事務所のホームページにて近日公開予定の(一体いつ公開出来るのか。。。現在、鋭意更新作業中です)「伴東の家」ですが、株式会社タニタハウジングウエアの谷田社長のブログ(Yan's diary)で取り上げていただいております。

実はこの伴東の家の雨樋はタニタハウジングウエアさんと共同開発(大袈裟?)させていただいたものを使用しております。
と言うより、私の意見を少し製造に反映していただいたと言う感じです。

まだ商品化されておりませんので詳細の公開は控えておきますが、竪樋が角形になっております。



この樋を採用した経緯は、私がタニタさんに問い合わせたところから始まります。
お客様から和のテイストが欲しいとご要望があり、それをどこで表現しようか悩んでおりました。日本らしい家とはどこで感じるのかいろいろと寺社仏閣や古い町並を見ていると、屋根と軒が和と感じさせるひとつの要素だと気づきました。
日本の気候は雨がとても多いという風土なので、雨を適切に処理する納まりにしたら自然と和の雰囲気が出るのではないかと考えたのです。
極力作為的なデザインを排し、とにかくシンプルに作りたいと考えていたので、軒もぐねぐね曲げるのではなく、まるで刀で切った様に一直線にしたいと思いました。
そうなると樋もシンプルなものが必要になりました。そこでタニタさんに問い合わせたのです。

お話を聞いてみると軒樋(水平に走っている樋)は角型があるのですが、竪樋は丸型しかないとのことでした。角形のプロトタイプは既に作っておられた様なので、それを採用するに当たり、細かな納まりについて私なりの意見を聞いていただき、試作品を作っていただきました。
そこから更に開発の方に要望を出して改善をしてもらい、写真にあります素晴らしい樋になったと言う訳です。


この樋は建築全体の形態を決めた重要な要素です。建築は細部と全体とがシームレスに調和が取れていないと美しくないと思います。建物の形がカッコよくても細部がいい加減だと残念な感じになります。ディテールがカッコ良くても引いてみて全体の形がカッコ悪いとこれも残念な感じになります。


建築は近くから見たり触れたり、また離れて全体を見たりと、どこも気が抜けません。
全体の形態は建築士が決めることができますが、細部に用いる現場では作れない様な既製品はメーカーに委ねるしかありません。
絵を描いたり口で言うのは簡単な事ですが、それを現実のモノとして作り上げるのは本当に大変な事です。
それを難なく(実際には色々と試行錯誤されたと思いますが・・・)やってのけてしまったタニタさんには感謝を申し上げたいと思います。
また無名の建築士の意見でも真摯に意見を聞いてより良いものを開発して行こうという、懐の深さと企業精神に私も同じものづくりをしている者として、姿勢を新たにしていこうと思いました。







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